ジム・ジャームッシュの初期監督作品がNetflixで配信開始(日本側で告知が遅れているのは勿体ない!) まずは公開当時未鑑賞だったデビュー作「パーマネント・バケーション」から。
アメリカ本国での公開は1980年で当時のニューヨークの街並みが見られる。「パーマネント・バケーション」と言うと英語圏では必ずしも肯定的な意味合いではなく、失職や放浪といった俗世離れした状態を指す場合が多いのではないだろうか。本作の主人公アロイシュス・パーカーはそんな雰囲気が漂う16歳の少年。同棲している彼女との関係も冷めた感じだ。
そんな彼が同様に気ままな生活を送る街のアウトサイダーとの出会いを通じて、人生の次のステップに向かうまでを描いている。ストリートでサックスを演奏する青年を演じるのは、ラウンジ・リザーズのメンバーでもあるジョン・ルーリーで、彼はその後ジャームッシュ作品で無くてはならない常連俳優になる。
ニューヨークの街並みは空き地やビルの解体現場が連なる裏通りが中心。「サタデーナイトフィーバー」や「スモーク」「レオン」辺りと同じ時代であるはずだが、本作で観られる風景は、よりドライで退廃的だ。
自分はこの主人公より少し下の世代で、映画「ブラックレイン」が撮影された頃の大阪ミナミで同じように夜の街を徘徊るような生活を送っていた。文学好きを装ったり、音楽の通ぶったり、背伸びする姿は当時の自分を見ているようで、懐かしくもあり、少し照れくさくもあり。
因みに本作は後のジャームッシュ作品とは異なりカラーで撮影されている。大学の卒業制作である事で知られるが、3つの大学を渡り歩いた彼なので、この時点で30歳手前。一般的な学生映画とはニュアンスが少し違う。