yukihiro084

マイノリティ・リポートのyukihiro084のレビュー・感想・評価

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)
4.5
『Amazonから何か届いてるよ。』と
妻が言う。
『あぁ…ちょっと本を頼んだんだよね
 ゴニョゴニョ……』と曖昧な返事。

まさか税込3500円の本を買いました。
とは言えない。
ジェームス・キャメロンの(SF映画術)。
スピルバーグやルーカス、リドリー・
スコット、ノーラン、ギレルモへの
インタビュー集だ。
なので、最近の僕はSFづいている。

同じ人生を15回繰り返した男を描いた
(ハリー・オーガスト 15回目の人生)を
読み終え、今は(DUNE砂の惑星 新訳版)を
読み始めている。落ち着いて考えたら、
僕は、かなりの作品のSF映画を、映画館で
リアルタイムで体験した世代なのだな、と
実感する。

面白かったSF映画は?と考えて、
すぐ頭に浮かんだのがコレだ。
(トム・クルーズ主演作)って括りで
簡単に片付けられてしまう本作は、
あまり話題にあがることがないが、

SF映画として(いやいや、十分
面白いよね。)と言いたくなる作品だ。

まず本作の未来の描写が、本当に
未来っぽい。しっかり未来っぽい。
(ドラえもんの中に出てくる大人の
のび太の未来)を想像させる。
なんでも、それぞれの分野の学者を
20人集めて、創り出した未来だと言う。
予告に出てくるトム・クルーズがモニター
を操作する動きも、マサチューセッツ工科
大学の学者が創り出したサインだと言う。
リアルな未来がそこにはあった。
まず、それが面白い。

原作は(ブレードランナー)や
(トータル・リコール」)の
フィリップ・K・ディック。
監督は説明不要のスピルバーグ。
主演はトム・クルーズ。

これは逃走劇である。

ハリソン・フォードの(逃亡者)や
ウィル・スミスの(エネミー・オブ・
アメリカ)もそうだったように、
追われる男を話はいつだって面白い。
そして、アクションに次ぐアクション、
ピンチに次ぐピンチ。疾走する
イーサン・ハント…ではなく
ジョン・アンダートン。

2054年。
殺人が(予知)でき、(犯行前に
捕まえる)ことで、街から殺人事件が
ゼロになった世界。その未来世界で、
予知された(次の殺人事件)の犯人は、

(自分自身)だった。

見知らぬ被害者。見えない動機。
身に覚えのない(犯行時刻)まで
刻々と時間は迫っていた。

追いつ追われつのサスペンスと
主人公が、白なのか黒なのか最後まで
わからないミステリー。
未来世界の描写が楽しいSF映画で、
トム・クルーズ全開のアクション映画で
スピルバーグ流のユーモアも楽しい
なんとも贅沢なエンターテインメント
作品に仕上がっている。

同じフィリップ・K・ディックの
(トータル・リコール)では
追われる男だったコリン・ファレルが
本作では追う男を演じている。
主人公を助けることになる脇役が
みんなみんな個性的で面白い。
特に本作でもピーター・ストーメアが
強烈な印象を残している。
この人とスティーブ・ブシェミには
アカデミー賞は難しければ、
(あんた、いつもいい仕事してるよ賞)
みたいな賞を是非あげたい。
yukihiro084

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