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マイノリティ・リポートのIDEAコメントはお休み中のレビュー・感想・評価

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)
4.7
スピルバーグ監督作品とイマイチ相性が良くない(気がする)、そんな私が愛する数少ないスピルバーグ作品。それがこの『マイノリティ・リポート』であります。

原作はフィリップ・K・ディックの短編小説『少数報告』、『ブレードランナー』を愛する私にとっては同じ原作者である今作をも愛するのは必然だったのかもしれません。
未来に起こる殺人を予測し犯人になる人間をまだ犯していない罪で逮捕する。
果たしてそれは許されることなのか。
この原作を1956年に出版したというのですから、人間の想像力の可能性に感嘆するとともに少しの恐ろしさも感じます。
想像したことをいつか実現してしまうのが人間ですから。

『ブレードランナー』では雨が印象的に使われておりましたが、今作でもまた雨のシーンは美しく情緒的で、近未来の世界観にあって、変わらないものもあるのだと象徴しているような気がします。

また、トム・クルーズ演じる主人公と未来を予知する力を持つプリコグのアガサが組織から逃げるシーンで流れるのは名曲『ムーン・リバー』。『ティファニーで朝食を』の劇中でオードリー・ヘプバーンが窓辺で弾き語るのが有名ですね。
ムーン・リバーの歌詞の中には、"2人の流れ者が未来へ旅立つ"というような訳ができる部分があり、曲調が逃避行中のそのシーンに似つかわしくないかと思いきや、2人の明るい未来を暗示しているのかなとも思うのです。

145分と少し長めの作品ではありますが、近未来SF×サスペンスアクションの手に汗握る展開が待っておりますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
もちろん、こういう作品にありがちの「おいおい、そりゃあ無理があるだろ」なシーンも満載ですので。
そういうところもひっくるめて愛おしき作品だなぁと思います。