Kachi

マイノリティ・リポートのKachiのレビュー・感想・評価

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)
4.1
※再鑑賞【近未来を舞台とした倫理観を問う作品】

舞台設定、トムクルーズのアクション、話の展開、問われている倫理観…全てをもって今見ても示唆に富んだ作品。

犯罪の予防警察はあり得るか?
この問いをめぐって、この物語は進行していく。物語冒頭では、Ministry of Precrimeの全能性が感じられる描写で始まる。三人のPrecogが見せる未来に支えられた制度は、高度な科学技術も相まって盤石なように見えるが、物語が進むにつれてその脆弱性が露わになる。

本物語が示す警告。それは、システムも人間がデザインする以上、どこかに必ず欠陥が生じる。人間が関与する限りにおいて、ヒューマンエラーは避けられない。さらにタチが悪いのは、完璧に見える制度・システムは、時に悪意を持って作られる。それも権力者によって都合の良いように。

だからこそ、私たちは権力に対しても常に懐疑の目を向けるべきであるし、人間の行うことに全幅の信頼を置いてはならない。

そんなことを改めて思わせてくれる良作であった。
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