tosyam

コンテイジョンのtosyamのネタバレレビュー・内容・結末

コンテイジョン(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

シンゴジラにはゴジラ1954ほどの核があたえたであろう人心の闇の深さが感じられない。原子爆弾はオキシジェンデストロイヤーのようにして屈折し闇に落ちた一人の若者によって開発されたのだ。言ってる意味がわかるだろうか。そこで本作だが完全なるゾンビ映画と認識したほうが何倍もこわい。現状から。つい感染症映画として観てしまいがちだが。そうみてしまうとただ凡庸なものとして映って終わる。感染症映画ならアイズワイドシャットのほうがよほど庶民の感染への恐怖を伝えていて怖い。本作は不条理にはじまったゾンビ禍と初動対応の混沌をシンゴジラのようにポリティカルフィクションのカタチで描いた異色ゾンビ映画。そしてシンゴジラに311の対応の絶望があらわれているように。本作にも2020の対応の絶望が図らずも深く刻まれてしまっている。ウイルス禍もゾンビ禍もおんなじである。ウイルス感染者は静的ゾンビに他ならない。これは差別的言説でもなんでもない。我々がキャパ超えの現実をうけいれるには無視するか陰謀論や荒唐無稽とするしかないのだ。だから人は映画をみる。
tosyam

tosyam