COVID-19のおかげで再注目。おそらく世界で最も視聴されている旧作が本作だろう。
2011年の公開作だが、現状を予告したようなCOVID-19との類似点は奇跡的だ。
蝙蝠を触媒とし、香港から発生し、接触感染で爆発的に拡がるウイルスを題材にしている。また、クラスター感染、オーバーシュートなど昨今ニュースを賑わせている単語が頻出する。
その点だけで魔術を目にするような楽しさがあるが、最も価値があるのは、物語として現実を見直すことができる点ではないだろうか。
現実のニュースは、出口のない絶望の只中にあって不安に満ちている。
だが、本作は終息とまではいかないが、発症、蔓延から光が見えたところまでを描いている。そこに今多くの観客は、希望を受け取る。
この不安に満ちた世界で最も大切な事だ。
もちろん、それ以外にも観る価値は沢山ある。
一つは、これだけ現状との類似点を持った事で、専門家や政府が直近で何を探求、選択、対策しているのかを浅くだが知ることが出来るという点だ。
脚本の専門性がずば抜けて高いのだ。CDC(疾病予防管理センター)のメンバーの働きが本作のキーとなっているが、その会話やシーンのほとんど全てが専門用語と現場を綿密に調査したであろう仕草で構成されている。
「不都合な真実」のスコット・Z・バーンズの素晴らしい脚本を堪能できる。