マツシマ

コンテイジョンのマツシマのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
3.4
ウィルスによる世界的パンデミックを扱った映画で
パニックモノかと思いきや、なんというか社会実験モノ?
シミュレーションモノ?
小松左京のSFのような「実際にこういう事態が起こったら世界はどうなるのか?」をかなりリアルにドライに描いた映画で、過度なドラマは描かれないものの、それがむしろものすごくドラマチックというか…

アメリカや香港、それぞれの街で一人、二人の人間が倒れた……というところから、連鎖的にバタバタと人が倒れていき、次第に世界がパニックに覆われていく様子は
コロナ禍の渦中にいる2020年現在の世界の様子をある程度予測していたかのよう
(つまるところウィルスパンデミックによって起こりうる事態というのは、ものすごく昔からしっかり予想はされていたということですね)

主人公然とした主人公がいないため、全員が主役であり脇役である構造も、まさに現実
そして著名な役者陣が誰も主役じゃない故にあっさり死んだりしますが、その演技力で地味目なこの映画を最後まで飽きずに鑑賞させてくれる一因となっています

リアルに作られているものの、やはり現実の色んな要素をそれぞれ分かりやすく描くために極端にしてはいるので、デフォルメが相当に効いている面もあります

特にジュード・ロウ演じる
「有事の際にデマで金を稼ぐ奴」
は実に最高
マジでクソ
そのへんの映画の普通の悪役よりよっぽどブチ殺した方がいいキャラ
だけど、いるよね…現実いるんだよね…

感染源の特定のために専門家がどう動くのか
ワクチンをどう作るのか
そしてワクチンの流通において起こりうるトラブル

色々と勉強になる描写が多く、ずっと面白い

でも実際ここまで速度と致死性の高いウィルスが流行ったら、マジでもっとはちゃめちゃパニックになるだろうな…と暗澹たる気持ちにはなりました


猿、ありがとう