よしまる

コンテイジョンのよしまるのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
3.1
 このタイミングで観たことが良かったのか、良くなかったのか、、。

 ディザスタームービーはパニックへと至る過程、、つまりサスペンスとしての完成度がまず求められるところ。感染の経緯のリアリティや、今では大物の有名スターがポックリ逝ってしまうサプライズな展開にはグイっと引き込まれた。

 SNSの拡散や国家とWHOの駆け引きなど今この状況において見応えのある部分もあるにはあるのだけれど、現実となってしまっては有り難みも薄れてしまう。遠くの人と顔を見て会話が出来るなんてことが夢のまた夢だった頃にテレビや映画でそんなシーンを見てワクワクしていたことを、いまの子供に理解してもらうことができないようなものかもしれない。違うか。
 
 淡々とひたすらに描写を積み重ねることでリアリティを構築していくのは実にソダーバーグ監督らしくて面白いのだけれど、着地点がまあこれ以外に思いつくこともなく仕方なく収めたという感じが物足りなさのゆえんだろうか。

 感染がピークを迎える時点がクライマックスで、見えない敵との最終決戦がワクチン完成というのでは盛り上がりようがないのも致し方なしとはいえ、もう少し落とし所があったように思う。いつまでも数字を公表しないのがリアリティなのかと思いきや、いきなり何千万人も死亡ってとこまで飛躍していてちょっとついて行けなかった。

 細かく感染源を突き止めていくマリオンコティヤールの活躍も見所だったのに途中退場してしまい、さらに最後はまあ別になくても良かったんじゃないかという事件に巻き込まれながら終了。この尻切れ感もなかなかだ。

 まあ何を言ってもいまこのご時世になってから観たところでこの映画の的確な評価は難しい。そのくらい現在世界で起こっていることは非現実的で想像を超えたものであり、しかしながらその難しいぶんと同じだけ、こうした映画に取り組んで世に出した人がいたことを素直に尊敬したいと思う。