星くずたちの再生ロードムービー。
東京での公開初日に、舞台挨拶付きの上映で鑑賞致しました。
本作は、押し付けがましさをまるで感じない、古き良きウェルメイドな内容で楽しめました!
キャラクターが皆よく立っており、彼らが織り成す掛け合い、ドラマに笑って泣いて、充足した鑑賞後感を味わえました。
劇場では全編に渡って笑いが起こっていて、温かい空気が漂っていたのをよく覚えています。
登場人物は俳優の人柄に合った設定になっていて、言い知れない実在感につながっていたのも印象的でしたね。
脚本の筋はとても真っ当で、往年の邦画名作を想起させつつ(私は、『幸福の黄色いハンカチ』等を重ねながら観ていました!)、現代的な価値観も入れ込まれていて、抜かりのなさを強く感じました。
テーマ性も普遍的なもので、マスに刺さる哲学が提示されていました。
クライマックスが近づくにつれ、演技も相まってセリフの1つ1つに涙腺を刺激されている私がいました。
普通であっても、ブレーキが壊れていても、星くずであっても、自分は自分のままで自由になれるのだと、そう背中を押してもらうことができました。
また、撮影も雄弁なカットやカメラワークが多く、目が喜ぶ映画に仕上がっていたと思います。
ただ、序盤から中盤にかけては編集の慌ただしさを感じ、置いてけぼりになってしまう人も多かったのではないかと、勝手に邪推してしまいました。私の肌感として、ちょっと間が足りていないなと感じる瞬間が何度もありました。
あと、現実から飛躍した設定や展開が幾つもあるのですが、1本の作品としてノイズになってしまっている部分も見受けられ、編集の慌ただしさと重ねて没入度を下げるポイントでした。
中盤までの反動という可能性もありますが、後半部は間延びしているように感じて、もっとクライマックスまでの時間を短くしてほしかったです。(最後のカタルシスが十分にあっただけに、鑑賞中勿体ない!と心の中で叫んでいました)
総じて、映像化するにあたっての詰めが甘いように感じつつも、筋書きの良さや登場人物たちの愛らしさ、コミカルな表情や仕草に惹かれる良作でした!