にーやん

クロッシングのにーやんのレビュー・感想・評価

クロッシング(2008年製作の映画)
4.2
脱北者への取材を元に制作された北朝鮮の現実に迫る骨太な作品。実際の脱北経路での撮影や、撮影スタッフにも脱北経験者が参加されているだけあって、北朝鮮の町並みや生活、そして脱北シーンや収容所などがとてもリアルに描かれています。

家族の絆や、家族や友達を思う気持ち。まるで戦後のような衣食住を巡る北朝鮮の劣悪な環境など、エンドロールが流れても胸の痛みは収まることありません。

凄く意外に思うのが、北朝鮮という国と脱北者を丁寧に描いているのですが、その登場人物たちが「国家への不満」を口にしたり「自由」を求めるような描写が、この作品に限ってはほとんどみられない。

描かれているのは、『ただ、今を生き抜こうとする一途で懸命な姿。』

だからこそ、「強烈な印象」と「影」が心にへばりつく…。

ある程度、覚悟は決めていたけれど…
まさに泣きっ面に蜂…気も滅入る。
それでも、観ておいて良かったと思います。

現実を知ったとて、何も出来ることはないのだけれど…この作品の制作、公開はとても意義深いものだと改めて思う。
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