松井の天井直撃ホームラン

ディア・ファミリーの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

ディア・ファミリー(2024年製作の映画)
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☆☆☆★★★

素直に泣けます。


原作読了済み。簡単な感想で。


『マッドマックス』シリーズの生みの親で有るジョージ・ミラーは、医師を志していた時期も有る事から。難病の副腎白質ジストロフィーに侵された息子ロレンッオを、医学にはズブの素人だった父親が、遂に特定のオイルを配合し、患者に服用させる事での治療法を発見する実話感動作品を発表する。
(その後、この治療法は否定され。映画公開後には悲しい出来事がこの家族には次々と起こる。)

だからこそ、初めてこの作品の予告編を観た時には。『ロレンッオのオイル』をどうしても思い出しつつ。でも、「この監督で大泉洋だしなあ〜」と、ちょっと訝ってしまったり…と言ったところでした。

原作は、あくまでも筒井家(映画では坪井家)のみなさんから聞いた話を纏めたルポに過ぎず、細かな描写を要する小説とは違い、家族が知る当時の事実のみが記されている。

それに対して、映像化に於ける内容には、(おそらくは)多くの事実とは異なる事象や人物・出来事等が描かれていると思われる。
だからと言って、特に怒る気にはならない。
別にドキュメンタリーでは無い訳だし、劇映画として面白くなるのならば〝それで良し″と言える。

元々はルポと言える原作。
それゆえに、特に感動的な表現する描写等は無く。あくまでも、家族の人達が知る記憶から語られる事実のみを、時系列通りに記しただけにしか過ぎない。
だからこそ脚本上で、例え事実とは違えども。【多少の嘘】も許されるのでは?…としての脚本構成だったのだろう?と推測される。

そんなところは、有村架純のインタビュアーであったり。戸田菜穂の娘さんとの「よんちゃん」との関連性(この2人は原作のルポには登場しない)等を見れば、感動作品として脚本にて作り上げた人物だろう?と言うのが理解される。

光石研演じる東京心臓医大(だったかな?実際は東京女子医大病院)の石黒(実際は小柳)と、その教室に居る若い医師達。
その教室での多くの描写や実験等での会話等。
大体のところは、原作のルポで描かれてはいる通りが、映像化に於いても描かれてはいました。

しかし、より映画を面白くする為でしょう。
現実には、あまりのしつこさに辟易した小柳が、「君のテーマにどうだ!」…と、若い医師吉岡(映画では松村北斗演じる冨岡)を紹介、、、とゆうか、あてがった…と言えるのですが。それによって、映像化に於いては後半に掛けて。この光石研演じる、自分の保身に走る人物を通した《勧善懲悪ドラマ》が完成する…とゆう、面白い効果を発揮してしまうのだった。

いや〜!3回も(ひょっとして4回だったかも笑)手のひら返しをする光石研最高〜!だったのであります。
ここは笑いましたね〜!
このピリッと効いた光石研調味料があったがこそ、最後に素直に感動させられてしまったのでしょう。
その後、オープニングで登場する。有村架純のエピソードの伏線が、上手く作動する結果にも繋がっていたと思いました。


2024年6月15日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン9


〓 個人的な事ですが。コロナ禍の2021年。健康診断で心臓の右室と左室の中間に脂肪の塊が発見され、カテーテル手術を受けた。

映像化での様な深刻な状況では無く。カテーテルで、その塊の組織を摘んで培養し、悪性かどうか?を調べるだけだったので、1日の入院だけの軽い手術ではあったのですが。
それでも死亡率は0では無く、万が一の為に承諾書にサインする時にはやはり少し緊張したものです。

おそらくは、その時に使用したカテーテルも、《よんちゃん》の願いが詰まったカテーテルだったのだろう?と思うと、心中にも思うところが私にも少なからずありますね。


なお、劇中で「他の病院が手掛けたモノは扱えない、、、」云々のやり取りに関して言えば。
私の母親が、舌癌の手術後。運悪く転移し、悪性のリンパ癌にて亡くなる前に、セカンドオピニオンを希望した。
母親が病気になった事で、色々な事を知ったのだが。そのセカンドオピニオンに関する事で有ったり…と、病院同士の(しがらみと言っていいのかどうか分からないが…)様々な面倒は本当に厄介なモノだと思わされた次第でした。