【芽生える複雑な感情達】78点
ーーーーーーーーーー
監督:ケルシー・マン
製作国:アメリカ
ジャンル:アニメ
収録時間:100分
ーーーーーーーーーー
2024年劇場鑑賞18本目。
ピクサー最新作。世界興行収入10位に入ってきている大ヒット作品なのですが、前作がどうもピクサー作品にしては自分の中では平凡でして、今作も十分良作ではあったのですが、並外れたピクサーの傑作群と比べたら、やはり真ん中あたりの評価かなと感じました。海外では特に評価が高く、感情の豊かさを重んじる海外の方が、、というのも関係しているのでしょうかね。(日本が別に感情に疎い国と言っているわけではありません笑)
ライリーは高校入学を控えており、ライリーの中でも、今までとは違う複雑な感情が芽生えていた。ヨロコビをリーダーとする感情たちの中に、新たなメンバーが加わるのだが。。
まず、頭の中の感情達をキャラクター化するというアイデアは抜群であり、さすがピクサーだと言えます。よくもまあこんなことを思いつくものだと感心するばかりです。そして今作は元からあった5つの感情達に加えて、シンパイ、ダリィ、ハズカシ、イイナーという思春期独特の感情達が出てくるのがまた斬新でして、世代交代と言わんばかりに最初の5人は追放されてしまいます。新メンバーのリーダーはシンパイでして、ヨロコビを尊敬していたものの、何せ心配性なキャラクターなので、あの手この手でライリーの危機を回避しようとしていきます。しかし、ある程度の経験を積んできた大人の目線から見ると、その対応はまずいだろう。。と思えるところが多々あります。しかし、シンパイは決して今作の敵キャラではありません。ヨロコビ達と対立はするものの、ライリーを助けたい、ライリーのためになりたいと思っているのは同じです。ライリーの複雑な感情をこのキャラクター達で描いていくのは極めて秀逸だなと感じました。
ただ、物語としてはライリーがアイスホッケーの名門高校でうまくやっていけるかどうか、だけの展開であり、現実世界の壮大さはあまりありません。それよりも、ライリーの頭の中の世界が前作同様斬新であり、こちらの方がメインの舞台と言えるでしょう。結構説明的な箇所も多いので、どちらかというと大人向けのピクサー作品と言えそうです。低学年の子どもが見たら、どこまでついていけるのかは悩ましいところです。ましてや思春期の感情に関しては、経験をしないとわからないところでしょう。従ってそれらをすでに経験してきた最低でも高学年の子ども達か、大人が見ると響くものがあると思われる作品です。ただ、感動するかどうかはその人が歩んできた人生次第。思春期を思いっきり経験してきた人は、ライリーの気持ちに共感でき、ラストシーンに涙を流すのではと思われます。
自分は『トイストーリー3』で爆泣きしてしまいましたが、今作では全く涙が出ず。。『トイストーリー3』も、自分が子どもの時におもちゃを大事にしていて、大学生あたりでおもちゃをどうしようか、と思う時があったので泣けたのだと思います。今作も、上記の経験をしてきた方が観ると、かなり泣けるのだと思います。アイデアは抜群、キャラクターも個性的でありますが、説明的な部分が多く、また展開にあまりワクワクできないところもあったため、総合的にはやや良作といったところに落ち着きました。