青二歳

空飛ぶゆうれい船の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

空飛ぶゆうれい船(1969年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

頭おかしい(←褒め言葉)。当代の児童アニメはスゴイなー怖いよ〜とビビってたら壮大な消費社会批判アクションムービーに。
真の敵は軍産複合体…?少年がその陰謀に立ち向かう!しかしそいつらも、より大きな存在に動かされていたに過ぎなかった…?児童アニメでやる内容だろうか(褒めてます)。

ガイコツ幽霊あたりまでは良質ホラー。本気でビビっていましたが、その後ツッコミの間に合わない超展開が続きB級映画の味わいを楽しむ感じに(ノ∀`*)ニマニマ。
ホラーミステリー→巨大ロボパニックムービー(脈絡なし)→空飛ぶ幽霊船がSFさながらのハイテク設定(さらに脈絡なし)。ニマニマしますよこんな横滑り三段ステップ見せられちゃ。
と思ってたら黒幕が巨大コングロマリット企業と来た。軍産複合体として暗躍する黒幕はまぁ予想通りなんですが、こいつは真の敵ではない、ボアという存在こそが彼らを操っているのだ!…という展開に至り、もう子供向けの範疇じゃない。それでも児童アニメであることを止めないからエライ。

幽霊船という脅威がある。この幽霊船には実は目的があり、攻撃対象はコンツェルンに限定されている。
敵対するコンツェルンは攻撃対象無差別のテロを起こし、そしてその犯人は幽霊船だとデマを流す。カウンターテロの世論を作り、コンツェルンは幽霊船殲滅作戦を進行する。…これ一体なんの話ですか石ノ森先生。

時代が時代なので左派よりな含蓄も見れるけどその辺は特に考察する必要もないかな。ボアジュースってコーラっぽいし反米とかもあるかも、でもいいのそんなこと。政治性なんぞより見逃せないことは、一連の陰謀が経済の論理に基づいている点。
ボアという真の黒幕は結局明確な意思は見せない。コンツェルンや国防軍、官僚を操って兵器輸出をさせているところからするに、世界中で戦争を起こすことが目的かもしれない…。一方ボアジュースという人間を溶かすジュースを大量に流通させているところからするに、人口統制を狙っているのかもしれない…。
また軍需産業の暗躍もコングロマリット企業が行う経済活動となっていて、例えば巨大ロボのテロで破壊された街をグループ企業の建設会社が再建を受注する等、マッチポンプで需要を起こしている。さらにボアジュースに至っては"消費という欲望"が、TVコマーシャルという需要側が発信する装置によって喚起されることを明らかにしている。
どちらも消費社会、または新自由主義経済においては是に過ぎない。しかしそれは人間を破滅させる仕掛けも内包したシステムなのかもしれない。いろいろ見方はあると思いますが、自分はそんな提言が示されていると受け取りました。

ボアは深海を泳ぐモビーディックさながらに不気味な存在。"世界征服を狙う悪の組織"みたいなパラノイアならまだ救われる。
無意識の集合体のような…そうです、言わずと知れた"サイボーグ009"でジョーがブラックゴーストの三つの脳に対峙した時の台詞を思い起こします。あの驚愕の台詞で味わった絶望感と同等の衝撃を受けました。主人公の少年がボアジュースの王冠を握りながらいう台詞は…ちょっと本気で血の気が引きましたね。
それにつけてもこの盛り込みっぷりと風呂敷の広げっぱなし感は確かに石ノ森章太郎。よくアニメ化した。脚本の人もえらい。

児童アニメであの機雷の演出はすごいよなぁ。ハード潜水艦ドラマさながらだもん。あとどうでもいいけどハヤトくん…お母さんの形見になぜソレをチョイスしたの。フェチか?フェチの萌芽なのか?なら文句ないけども(๑•̀ㅂ•́)و✧