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キングダム 大将軍の帰還のsanbonのレビュー・感想・評価

キングダム 大将軍の帰還(2024年製作の映画)
4.0
仕方がないが、これじゃまるで打ち切りエンド。

4作続いた「キングダム」シリーズは、今作を以って一応の完結という事で、これが今作がこれまで6年かけて紡いできた物語の終着点であり、実写映画プロジェクトの結末となる。

そう考えたとき、今作で残されたあれやこれが超絶消化不良案件となり果てててしまっていた。

そもそも、ここで話を区切るのは必然としても、今作の主人公はどう転んでも「信」にはなり得ない。

これはどうしてもメタ的な話になってしまうが、1~3作で成りを潜め続けた「王騎」が今作で急に主役面で物語の大半を独占してしまう構図は、今作を完結編と銘打った場合相当な違和感となる。

原作ファンならそれは周知の事実であるから、そこに対しては理解を踏まえたうえで鑑賞できるのだが、1歩下がって客観的に今作の物語を顧みた時に、信の物語としては何一つ終止符が打たれていない事に気づく。

討ち果たすべき仇敵も存命だし、これで終わりじゃあまさに「俺たちの戦いはこれからだ!」という打ち切り漫画の定番文句が頭をよぎるのも致し方ないというもの。

そんで「えぇ~!面白かったのにここで打ち切りなのぉ〜⁉︎」という悲嘆の声までがセットである。

と言いつつ、4,5年後くらいにはちゃっかり復活続編が作られそうな気もするが、ここは一旦完結の体で話を進めると心境はそんな感じだ。

でも、これでは本当に決着がついたのが王騎だけとなってしまう為、原作勢でない人からしたら、やけに特徴的なくせに結局なんにもしてない「万極」とか「李牧」とか、思わせぶりに出てきた「楊端和」とか、メンツだけやけに豪華な王政の連中が全く意味不明になってしまう。

これは、1本の映画としてみたら由々しき事態である。

さらに言うと、今作で上映時間が146分はちょっと長すぎる。

大作映画で完結編でとなったときに、どうしても心理的に2時間オーバーにはしないとなという心理が働くのは分からなくもないが、それにしてもちょっと冗長なシーンが多かった気がする。

特に「馬陽の戦い」が次の局面に移行するまでのフェーズは、もっとテンポよくスマートに描けたはずだ。

確かに、この場面で「尾到」が命を落としてしまうから時間をかけてじっくり描きたかったのは分かるが、結局この場面で「飛信隊」の主だったメンバーは尾到以外全員が生き延びるから、間延びした分だけ尾到の死がどこか滑稽に見えてしまった。(なんで一番深手を負ってるやつが一番負荷のかかる事をやってんだよとか。)

あとは、村で無事を祈る「友里」と「東美」のシーンも、おそらく上記の理由でやたらとだらだら尺を割いていて、ここは絶対もっとなんとか出来たはずである。

ましてや、今作は全編クライマックスと豪語しているのだから、なるべく静かなシーンは短く編集するのが吉だったと感じた。

ちなみに、話は変わるが「トイストーリー」も続編が作られるという事で「トイストーリー4」のレビューの際に、完全に完結した前提の感想を述べてしまった事は今となってはめちゃくちゃ恥ずかしいので、皆さんもどうか気を付けてね♡
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