“誰かが殺そうとしてきて、俺らはそいつらを殺そうとする。”
もしも今アメリカで内戦が起きたら…。インパクトのありすぎるテーマと、ビジュアル含めた壮大すぎる宣伝で求心力半端ないのだけど、中身はガーランド監督によるエンタメに寄っていない造りでした(予想と覚悟はしてた)。
これがハリウッドのスタジオ作品だったら、もっとVFX使いまくって自由の女神吹っ飛んでたし、ゴールデンゲートブリッジは陥落していたと思う(笑)制作費最大といえどインディ映画の域を出ず(良くも悪くも)。それよりも女性戦場カメラマンにフォーカスを当て、ワシントンに向かう間での小さな衝撃を積み上げていく。特にジェシー・プレモンスとのシークエンスはさすがの緊迫感で、ラストのホワイトハウス突入も臨場感が半端ないので映画館では観るべき作品。音楽が逆に攻めてて良い。
この作品において特に描く必要もない設定なのかもだけれど、この内戦の背景や対立構造、どのくらいの規模なのかが気になってしまった。一般人の目線で結果よく分からず内戦が始まってるという意味ではリアルではあるけれど、客観視した“誰と、何で、争っているの?”が合ったほうが映画としてより現実味や恐ろしさが倍増しそう。西側勢力の軍隊長が黒人女性だった事、ジェシー・プレモンスが白人至上主義だったことで、多分そのような対立を暗に模している感じではある。そう思うとラストシーンの意味よ(笑)
戦争映画はすでに起こった過去を描くことが多いけれど、近未来を描きながらメッセージを出していく斬新さはA24ぽいなと思うし、そんな作品が北米でも日本でも大ヒットしているのは結構嬉しいこと。