もし「アメリカで内戦が起きたら?」という“If”を描いていますが、複雑な政治ドラマやA24的な難解さはなく、戦場と化したアメリカを移動するスリリング体験にどっぷりと没入できました。上映時間は1時間50分と比較的短めで、最後まで飽きることなく楽しめ、映画館で鑑賞できて良かったです。
“ポストアポカリプス”もの(終末もの)が好きなので、今回の文明崩壊前夜のような雰囲気もよかった。ケンシロウやマックスのような「ヒャッハー」とまではいかないけど、その前日譚みたいな…。時代から取り残された感じの田舎町シーンも味わい深かったです。
また、シンプルなロードムービーでもありました(これも好物)。4人のジャーナリストたちが大統領への単独取材を目指してニューヨークからワシントンD.C.へ陸路で向かう旅は、目的地に近づくにつれてどんどん盛り上がり、ジャンルの王道を踏襲しながらもリアリティ感じるアクションが新鮮な魅力を放っていたと思います。
これに加えてキャスト陣がいいのです。キルスティン・ダンストは安定の存在感を放っていましたが、今回は彼女の夫ジェシー・プレモンスがちょい役ながら圧倒的な演技で素晴らし……というかメチャ怖かった。そしてとりわけ印象的だったのがケイリー・スピーニーでした。ハングリー精神旺盛な駆け出しの報道写真家役を見事に演じ、旅の緊張感をリアルに体現していました。
あと、さらに監督の前作『エクス・マキナ』('15)でセリフがゼロだったソノヤ・ミズノも今回はセリフをゲットできてよかったです。今後もっと活躍して欲しいな。
唯一苦手なのがジャンプスケア。2回ぐらいビックリ音で手とひざがジャンプして、多分それに隣に座っていた方がビックリしていました。ほんとごめんなさい🙇