KnightsofOdessa

スリー・キングスのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

スリー・キングス(1999年製作の映画)
3.0
No.930[アメリカ人の感覚で他国を踏み躙る湾岸戦争の寓話] 60点

苦手な監督というのは星の数ほどいる気がするが、明確に嫌いな監督というのはデヴィッド・O・ラッセルくらいしか思い付かない。生理的に無理というのはコイツの映画のことを言うのであり、出来れば今後一切関わりたくない監督であるのだが、ご存命でありしかも例の本に一作載っているとあれば観るより他ない。と思ったのだが、期待値がほぼ0だったため意外と楽しんでしまった。

アメリカ人的なお馬鹿な発想を発端に馬鹿騒ぎをしまくるブラックコメディ。可哀想だと言って捕虜を解放し、お宝が欲しいから誰にでも銃を向け、協定を無視して敵兵を殺しまくる。完全にアメリカのイラク侵攻を嘲笑したプロットであり、彼らの"如何にもアメリカンな発想"というのが映画的なご都合主義とアメリカ第一主義を包含しているので、極めてハリウッド的でありながら同時にそれが皮肉になっているという高尚なブラックギャグだった。ラグビーボール爆弾で戦うとこなんか盛大に馬鹿にしてて笑ってしまう。ただ、ラストに掛けて主人公たちに善の心が目覚めていくのはなんか違う。徹底的に嘲笑ってほしかったなぁと。

私の一番嫌いな映画と言われている「アメリカン・ハッスル」以降、コイツの映画は劇場公開されていないので、もしかしたら今後関わらずに済むかもしれないと思いつつ「ザ・ファイター」がこっちを向いていることに気が付くのだった。
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