キム・ハンミン監督による、朝鮮の英雄・李舜臣を描く三部作の最終章。
秀吉の死により、朝鮮の日本軍に撤退命令が下る。
双方無血撤退を模索するも、ここで日本軍を殲滅しなければ、将来に禍根を残すと主張し、小西行長に対する封鎖を解かない李舜臣と、小西軍救出に向かう島津義弘率いる日本水軍が激突した、露梁海戦を描く。
この時代の海戦ものは珍しく、その意味でこの三部作は貴重。
戦いの流れはほぼ史実通りで、日本側の描写もなかなかしっかりしたものだが、例によってモリモリに盛ってある。
まあエンタメとしては、これが正解だろう。
前作ではずーっと思案してるだけで動きがなく、キャラクターとして魅力がなかった李舜臣も、今回は人間味が増した。
ただ、ちょっと引っかかるのが、家族の描写が増えた結果、日本軍を殲滅したい理由が、私怨に見えてしまうこと。
一応、捕虜のくだりがエクスキューズになっているが、仮にそうでなかったとしても、「将来の禍根」という仮定の未来に基づいて兵を戦わせ、無駄に犠牲を増やしたのはいかがなものか。
結局自分も死んじゃった訳だし。
クライマックスの白兵戦で、朝鮮の兵にカメラが寄り添い、彼が討たれると、今度は討った日本兵にカメラが移り、日本兵が討たれるとまた朝鮮兵にという描写は非常に面白かった。
同じ人間同士が殺し合い、死に敵味方は無いという現実を、端的に表現した秀逸な演出。
色々欠点はあるが、見応えのある完結編だった。