『テレビの中に入りたい』 A24の新作
(と言っても本国と時差がある)
公開日の次の日に鑑賞したが意外と入ってる人数は少ない。以下ネタバレ含むので注意
邦題◎わかりやすいし話にも添ってる邦題。
物語の中心は居場所を見失った思春期の少年少女たち。彼らは、現実の窮屈さや閉塞感から逃れるように、テレビのスクリーンの向こう側へと足を踏み入れる。
その世界は、美しくもどこか不穏で、現実とはまるで異なる幻想的な世界。しかし、マディとオーウェンにとっては単なる“テレビ番組”ではなく、彼らが「自分だけの居場所」を求めて進む旅路(エピソード)であり、同時に現実との対峙を迫られる試練の場でもある。
本作は青春期特有の孤独や空虚さ、そして「ここではないどこか」を求める切実な衝動を描き出す。
観客は彼らの逃避と探求を通じて、自分自身の中にある現実と幻想の境界線を見つめ直すことになるだろう。
◎総評としては観る人をかなり選ぶ映画。
私は最初は音楽も映像も凄く良かったけど、どんどん減速していった印象。特に、マディの一人語りのシーンは完全に失速。私は「映画の中の映画」とか「架空の中の架空番組」に凄く萎えやすい傾向があって、その魅力とかリアリティを全面に押し出して来られれば来られるほど、めちゃくちゃ萎える。作り物感がすごいから。シンプルにピンクオペークという番組の面白さや魅力が何も伝わって来ないのが観てて辛かったな。エピソードが抜粋されて見せられたけど、ちょっと見せられただけでも脚本がぐちゃぐちゃそうだし、そんなに子供を魅了するか?って感じた。
ロッテントマトの批評家の声と裏腹にオーディエンスの評価が低いのはここにあるんじゃないかと思う。
番組ピンクオペークが子供たちを逃避させるほど魅力的に見えない!
そこが残念。
コンセプトや伝えたいことは結構伝わってくる。
オーウェンはマディと違って現実とフィクションの線引きができていて、マディはそのまま向こうの世界に行ってから帰って来れなかったんだろうな。
どちらが悪いとかではないけど、2人の人生の分岐点を見せられた映画だった。
オーウェンの中1〜 40代くらいのおじさんまで見せられたのは良かった。何歳になっても心の中には自分の居場所が残ってて、親が死んでも地元で死人のように生きてても、あの頃の輝きが胸の中に残ってるからなんとか生きられるんだと思える。
小声でI’m sorry about that before(あの件はごめんね)と繰り返し客や同僚に言いながら終わるのは謎で良かった。全員無視。
言い回し的にも、いつのどのことかが曖昧で、何に対して謝ってたのかエンドロールで考えてたけど、シンプルに職場で取り乱したことについてなのか、自分を解放したことについての謝罪なのか
別の作品を出すと、リトルナイトメア2をちょっと連想したな。