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カンダハールのchinechanのレビュー・感想・評価

カンダハール(2001年製作の映画)
4.5
とても貴重な映像です。5分に1人亡くなる国で生きる人々、その瞳は一体何を見ているのでしょう。

イランから国境を越えてアフガンへ入るルートの中で、主人公が見る光景を通して、私たちはそこで起こっている日常(あまりにも私たちの暮らしとはかけ離れた)を知ります。

地雷の避け方を教えられる子供たち、パラシュートで投下される義足と、落下地点へダッシュする何十人もの足のない男達(本当に走るのが速い)、ターリブ(神学生)の学舎での授業風景、カーテンに開けた穴からの診察、国境の越え方、井戸水、パシュトゥーンとタジクの争い。

その中で生きる人々は、たくましくも浅ましくもある。妻のために、息子のために、自分が生きるために。
生きることは、こんなに必死なことだったのか、と思わされました。

冒頭とラストは、太陽と希望を重ねあわせながらも、皆既日食でその希望が絶たれる日を暗示しているのでしょうか。もしくは、皆既日食になっても、尚漏れでる光はまばゆいものであることを示しているのでしょうか。

いくつもの関門を何とか切り抜けてきたが、この先の見通しなんてない。
そんな時に、ブルカの穴越しに尚照らしてくる、地平線に落ちていくオレンジ色の太陽が印象的。
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