LATESHOW

カンダハールのLATESHOWのレビュー・感想・評価

カンダハール(2001年製作の映画)
4.1
アフガン周辺の砂漠を飛ぶ飛行機から、義足が括り付けられた無数のパラシュートが落下する。シュルレアリスム映画の一場面のようだが、テントから地雷で足を吹き飛ばされた男たちが松葉杖で必死に走り寄る。

次の日食に自殺すると告げてきた妹のもとへ急ぐ女性が目にする
アフガンの貧窮、差別。

詩的な映像が捉える人の浅ましさ。
敵を憎め、殺せと暗唱させる教師。
遺体から盗んだ指輪を執拗に売りつける子供。
嘘を並べ立てて義足を持ち去る疵面の男。
女性の顔を覆うグルカが本当に隠しているのは、荒廃した人心ではないだろうか。
色鮮やかなグルカからは狭く小さな視野しか与えようとせず、
命に等しく価値を見出せない
見捨てられた土地で
居場所を見失った元兵士のアメリカ人が残り続ける理由。

イルマス・ギュネイ「路」、
マルジャン・サトラピ「ペルセポリス」、
そして本作に出会えたことを感謝する。
マフマルバフの著書にはこう書かれている。
「もしも過去の25年間、権力が人びとの頭上に降らせていたのがミサイルではなく書物であったなら
無知や部族主義やテロリズムがこの地にはびこる余地はなかったでしょう」

日食が終わっても、この物語は終わらないのだろう。今も。
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