くりふ

スカイウォーカーズ: ある愛の物語のくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【恋のバカケム〜高い所へのぼるのは?〜】

Netflix新作ドキュメンタリー。『ラクパ・シェルパ』つながりで見てみた。

フェイク・ドキュメンタリーだと言うつもりはないが、台本があるようにツルリとした展開で、よくできてるな〜と感心した。

マレーシアでの地上678.9m、ムルデカ118頂上戦は確かに、強烈な映像だ!どこで見ようが、足が竦む。

でもなあ…どこまで行ってもやっても、冷笑との背中合わせだよね。やってることが結局、バカだもの。

仲間の多くが落ちて死んじゃったそうだが…当たり前じゃん!仮に今後、自ら用意した墜落死エンタメから生き延びたとしても、誉められるようなことは何もやってないよ。

“登りつめたがる女”アンジェラ・ニコラウの宣伝記録としては感心した。確かに彼女があんなことすれば注目されるだろうし、あそこまでやらないと人気が取れないことも、自覚しているのでしょう。

これはアートだとか言っているが、命懸けで表現しているつもりなら、墜ちて潰れて、恐ろしい肉塊と化した姿もアートなの?周囲に多大な迷惑かけることも含めて。

デスクトップで簡単に、莫大な、無責任な“ポチッと人気”を集められる今だからこそ成立する芸だよね。

現場下に観客を集めて、頭の上に落ちる環境の中でやってみたら、実際には何人、見に来るだろうか?

ある愛の物語としては、これぞ“究極の吊り橋効果”では?例えば、アンジェラが渡辺直美でも成立する“物語”だろうか?直美さんは魅力的な女性だし、あのリフトを成功させたら世界中に轟くけれど。

『ラクパ・シェルパ』は女性登山家だったが、頂上を目指す経緯がまるで違う。アチラの方がまだ、共感できた。コチラは、他の選択肢があるのにあえてバカをやっていて、結局はバカだとしか思えなかった。

気をつけないとね。こういうバカが空から降ってきて、自分が殺される確率もゼロではないのだから。こういう映画を見て目覚めちゃうバカが増えると、つられて致死率も上がっちゃうしね。

何にせよ、各高層施設の警備担当さんは、本当にお疲れさまです。飛び込み自殺の対応をする駅員さんみたいに、大変な作業もあるのでしょうね。妙なところにはまり込んだ肉塊を掻き出すとか。

<2024.8.6記>
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