恐らく日本では劇場未公開。Disney+で配信されていたので気になっていたけど、この度ようやく鑑賞した。舞台は死期が近い患者の終末治療を行うホスピス。脳の癌によって植物状態の少年の世話をする妹とシングルマザーの様子を描いている。
息子の世話を最後まで遂げたい母親と、看病に時間を奪われ、自身のティーンとしての楽しみを奪われてしまった妹のぎくしゃくした関係。
娘役のニコ・パーカーによる演技がとても良い。兄の看護に忙しく年相応の遊びを体験してこなかった彼女は、表情に乏しく友達もいなかったが、やんちゃなクラスメイト達と付き合うようになり、少しずつ若者らしい笑顔を見せるようになる。マリファナやアルコール、男の子との怪しいゲームなど、危なっかしいシーンも多くヒヤヒヤしたが、それらを味わう事こそ青春なのである。
エンドロールに流れるメッセージから、監督であるローラ・チンの実体験から着想を得た作品である事が伺える。2時間に満たない作品だが、必要最低限の登場人物と、心の変化を捉える脚本が素晴らしく、爽やかな後味を残す秀作に仕上がっている。
アコースティックなフォークサウンドを基調にした劇伴は、ロックバンド「ハイム」のエスティ・ハイムによるもの。今回初めて知ったのだが、彼女は他にも映画音楽をいくつか手掛けているらしい。