莫大な資産を持つ実業家のマイナート。
彼の趣味は狩猟だが、その獲物は動物でなく人間。
でも何人殺しても捕まらない。
お付きの人がササっと証拠を消しちゃうし、上級国民のマイナートのダークサイドに、利害関係を持つ他の上級国民は、誰も触れたくないからだ。
冒頭でザイドルのクレジットを見た時点で分かってたけど、終始胸くその展開で、観客をとことん突き落とすダウナー系。
映画は、全体がマイナートの13歳の娘の視点で語られる。
普通の映画だと、オヤジがクズだと娘はまともだったりするのだが、本作の場合はクズの家族も等しくクズで、下手すりゃ親世代よりクズという、よく考えれば一番そうなるよね?というところに落とし込んで来るんだな。
タイトルは、カエサルが戦に勝ったことをローマに知らせた、有名な手紙のフレーズ「来た、見た、勝った」からだが、上級国民は現代の皇帝みたいなもので、戦で破られるのは大衆社会と言うことか。
画面に映らないが、一応デモやってる音声が聞こえるんだけど、富の固定で新しい階級社会が出来つつある現代への、「早くなんとかしないとこうなっちゃうよ?」というかなりシニカルでブラックな風刺劇。
まあまあ面白いけど、映画観て凹みたいマゾな人向けです。