福福吉吉

殺人鬼の存在証明の福福吉吉のレビュー・感想・評価

殺人鬼の存在証明(2021年製作の映画)
2.5
◆あらすじ◆
1991年、負傷した女性が保護され、彼女の証言から10年以上犯行を続けていた連続殺人犯の手口に酷似しており、既に1988年に逮捕された犯人が誤認逮捕だったことが判明する。捜査官のイッサは新たな容疑者のアンドレイ・ワリタを尋問していくが...。

◆感想◆
既に逮捕した犯人が誤認で新たな容疑者が浮上する現在と3年前の誤認逮捕時の捜査状況を併せて描き、連続殺人にかかる事件の真相が明らかになっていくストーリーとなっており、連続殺人の異常性、指揮する捜査官にかかる警察上層部や世間からの重圧など細かな部分が描かれていて、1991年と1988年を何度も往来するのでストーリーが理解しにくいですが、意外性のあるラストになっていて良かったと思います。

捜査官のイッサは連続殺人犯の逮捕のために部下たちを指揮していましたが、警察上層部がイッサの考えた計画を白紙にする一方で犯人逮捕の迅速化だけを求めており、そこには誰か犯人に仕立て上げても良いから結果を出せという無茶ぶりがありました。イッサは優秀な捜査官だと思われるのですが、上司や世間の重圧から誤認逮捕へ進んでいく展開は嫌なリアリティがあって、真犯人が野放しにされる恐怖にそっぽを向く警察の怖さを感じました。

イッサの部下のイワンは事件を追っていくうちに早い段階でワリタを容疑者として目星をつけましたが、上の重圧に負けたイッサがそれを無視したため、イワンは退職します。イワンが異常なまでに連続殺人犯の捜査に執念を見せており、退職後も事件を追う姿はどこか精神的な異常さを感じて、彼がなぜそこまで事件に執着したのか分かりませんでした。

ストーリー後半になると、事件の捜査と共にイッサのプライベートな部分も描かれていきます。前半と明らかにテイストが変わっていて、それがラストにしっかり繋がっていく展開は予想外で驚きました。

連続殺人犯の異常性よりもイッサの環境や心情の変化が印象づけられて、連続殺人犯という題材が薄く感じて、思ったより心に残る部分がありませんでした。私には可もなく不可もない作品でした。

鑑賞日:2025年9月5日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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