是枝監督の生涯ベスト10に入ってる作品。
なるほど、たしかにこの超絶自然主義なドキュメンタリックともとれるカメラワークや演技はドキュメンタリー出身の是枝監督が褒め称えるのも合点がいく。というか誰の目にも明らかなほど超絶凄い。
他にも一見、何も映っていないような真っ白な雪景色の中に何かがポツンと映り込んでいる遠景ショットなんかもたまらなく美しい。
本作のレビューでよく“退屈”という言葉を見かけるがむしろ私は逆で、あまりに画面の情報量が多く、語られていることも多いので退屈する暇など一切無いくらい“面白い”と感じた。
ギリシャの歴史的背景なんかも詳しくなくても、適度に説明過多になりすぎない程度に説明してくれるし、画面上で何が起こっているかは観ていればわかるはず。
ただギリシャ神話なんかを読み込んでるとさらに深く本作を堪能できるんだろうなという気はした。
よく比較されている「アンダーグラウンド」が“陽”だとしたら本作は“陰”。