まるで『ニュー・シネマ・パラダイス』。
ラストカットと言いトト似の子役と言い…
祖父母がホテルを経営していた少年時代の記憶を基にダニエル・シュミット監督が描いた幻想的な人間ドラマ。
取り壊しの決まった古いホテルを訪れた男が
現実と幻想を行き来しながら幼い頃の記憶を巡って行く……。
『はなればなれに』のサミー・フレイが語り手となる主人公を好演。アンニュイに歌うイングリッド・カーフェンの美しい歌声はノスタルジーに満ち溢れてる。そして夢と現実、過去と現在を交差させる演出がとてもお洒落。
更にはフェリーニの妹、フィリップ・ガレルの父、チャップリンの娘…と豪華キャストを見つける楽しみも加わると言う。
フェリーニやソレンティーノ監督の自伝的作品ともどこかオーバーラップするノスタルジー。勿論、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の懐古的作品たちとも。
ただ、レナート・ベルタ撮影による夢幻的な映像美は明らかに抜きん出ていて洗練されてる。
個性的な大人たちの世界が魅力的で、輝いてみえて、瞳をキラキラさせながら覗き見するトト、いやヴァランタイン少年の好奇心いっぱいの表情がとても可愛いかった。