田山信行

凶気の桜の田山信行のレビュー・感想・評価

凶気の桜(2002年製作の映画)
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ナショナリズムに傾倒した若者達が暴力で日本を変えんとするが更なる暴力に淘汰されていく刹那的な青春映画。
この頃から既にこの国はきな臭かったんだろうが彼らの危険な思想や行動を肯定した映画ではない。寧ろその逆。どんなに暴れようとも世界など変わらない諦観というか。この頃も今に至るまでもこんな若者はおらず御伽話の世界だが……独善的な正義というのは大分芽吹いた様に思う。

社会的活動はSNSで活発化した。実態も行動もない陳腐なものだが。あくまで映画であるこの作品の様に物語的に破滅を迎えることもなければ終わることもない。リスクも痛みも伴うことなくただ垂れ流されていく。気持ちの悪い世の中になってしまったものだ。

この映画辺りからかなりヤバい奴のカテゴリに入ってしまった窪塚洋介。一度死にかけもしたが奇跡の復活を遂げて今。一番アレそうな筆頭ではあったが特に世の中に迷惑をかけてはいないという不思議。
田山信行

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