Melko

凶気の桜のMelkoのレビュー・感想・評価

凶気の桜(2002年製作の映画)
3.4
大人に振り回された、大人になりきれない青年たちの末路。

日本語のラップってどうも苦手。なんか青臭く感じてしまって…
そんな日本語ラップが流れ続けるMVみたいな2時間。冒頭のアクの強い画面で、ついていけるか不安になったけど、ずっとスッキリしないまま終わってしまったな…

「暴力を以て暴力を制す」を信条に暴れ回る山口・市川・小菅のネオ・トージョーの3人。やってることは「ガラの悪い」世直し。大人と子どもの間にいるような中途半端な彼らのやり方は泥臭く、スマートではない。戦いにくそうな白い特攻服、顔も隠さず堂々と暴力の限り。イデオロギーだなんだと御託を並べて自分たちの行動を正当化しようとするが、やってることはそこらへんのチンピラと変わらない。全体的には理解できない行動と考え方だけど、
カフェで大声で騒ぐヤンキーに「ここはお前の家か!耳障りなんだよ!」ってヤキ入れるところは共感できたり、
普通の高校生のケイコには害なく接したり、根っからのワルなわけではなく、根は気の良い奴ら。だからこそ、一見魅力的に見える周りの大人の策略にハマり、離れ離れになってしまう展開は少し切なかった。

序盤はなんとなく「壮大な厨二病」をやらかしてた3人が、本物の悪に振り回されて行き着く先。一見、背伸びしたがる悪ガキに暴力を助長させる趣味の悪い作品のようで、「馬鹿なことしてるとこうなるよ」という現実を突きつけてくれる、粗暴に良心的作品かも。

ケイコの言う「わたし日本は好きだけど、最近の日本人は嫌い」とか
青田会長の言う「グローバルだかスタンダードだか知らねえけども、この世から腹空かしてるガキが居なくなってから言えよなあ」ってのは、わかる。

貧しい富めるの境目がなくなった今、どこに行くのか日本は。

原田芳雄はさすがの存在感。
Melko

Melko