TS

ツイスターズのTSのレビュー・感想・評価

ツイスターズ(2024年製作の映画)
3.7
【全てを飲み込むモンスター】79点
ーーーーーーーーーーーーーーー
監督:リー・アイザック・チョン
製作国:アメリカ
ジャンル:ディザスター
収録時間:117分
ーーーーーーーーーーーーーーー
 2024年劇場鑑賞17本目。
 1996年、ヤン・デ・ボン監督の『ツイスター』の続編となっていますが、関連性はあまりなく今作からでもokです。久々に力が入っているディザスター映画と感じました。竜巻の恐怖というのは、なかなか我々では分かりづらいところがあるのですが、今作はその竜巻の恐ろしさを最大限に描いている作品であり、不謹慎ながら迫力がありました。IMAXで鑑賞しましたが、中盤と終盤の竜巻が街を襲うシーンは圧巻でした。

 気象学の卵と言えるケイトは、学生時代に竜巻を溶かして弱体化させる研究をしており、仲間達と竜巻が発生する場所に向かうのだが。。

 こうやって災害に立ち向かっていく人には頭が上がらないのですが、やはり学生のノリで行かれると、災害を嘗めてるとしか感じられなく、この人たちやばいことになってしまうのでは?と思えてしまいます。案の定、大惨事となってしまうのですが、あくまで彼女達は竜巻を人の手で消滅させたいという目的があったので中々歯痒いところです。夜な夜な自分たちが楽しむために廃墟を訪れたりする若者達とは訳が違います。それから5年の月日が流れ、拭いきれないトラウマを抱えたケイトはニューヨークの国立気象局に勤めていたのですが、旧友のハビと再び竜巻調査プロジェクトを渋々に参加していきます。やはり、トラウマを植え付けられても、昔から自分が興味を持っているものはなかなか消えないものですね。よく言うと勇敢に、悪く言うと無謀にも竜巻に向かっていきます。プロジェクトチームのメンバーの一部がかなりふざけていて、「あ、こいつらは真っ先に竜巻にやられてしまうのでは」と思えましたが、意外にも竜巻の恐ろしさを熟知している節も多々見られ、難なく乗り越えていきます。災害を軽視するのは危ないことですし、あの嘗めたような姿勢はやや不謹慎だなと思えてしまいますが、人間の力=科学で自然を抑えようとするところが今作のポイントなのだと思います。

 ディザスター映画には二つの結末があり、一つは科学の力で乗り越えていくというもの。そしてもう一つが人間の知恵を絞りその瞬間を乗り越えていくというものです。今作は明らかに前者ではありますが、竜巻を弱体化させる物質のメカニズムがよくわからないため、説得力はありません。ただ、確か数十年以内に台風を消滅させる技術が発明されるとも聞いたことがありますので、こういうのも意外にあり得るのかもです。それにしても、竜巻というのは恐ろしいものです。小さな街ならば壊滅状態にまで持っていけるので、局地的には台風より恐ろしい代物でありましょう。アメリカではやや頻繁に発生しているようですが、日本では発生してもそれほど大規模なものではありません。地震や台風、火山噴火などは、日本では多く発生するため大型竜巻の発生というのは、日本では珍しく経験しない災害の一つと言えましょう。経験しないことが一番ですが、もしこんなものが発生してしまえば、どうしたらいいのか、ディザスター映画はほぼSFなのですが、生きる知恵を時には与えてくれるジャンルの映画なので、僕は重宝して鑑賞するようにしています。

 ただし、予算が少なければヘンテコなディザスター映画ができることもあります。やはり、心に刺さるのは迫力のあるディザスター映画なので、作るならばある程度の予算が必要でしょう。今作は、やはりアメリカでは中々注目されていた作品であると思うので、予算がつき、結果的には映画館で観る価値が十分ある映画になったのでしょう。南海トラフの話が今出てきている中、ディザスター映画の感想アップはやや恐縮でしたが、参考にしていただけたら幸いです。
TS

TS