茶一郎

トラップの茶一郎のレビュー・感想・評価

トラップ(2024年製作の映画)
3.8
 シャマランの安定した匠なサスペンス術を堪能できる一本。
 娘とコンサートに来場したが、そのコンサートが連続殺人鬼を逮捕するための「トラップ」で、主人公こそが連続殺人鬼……という出オチ映画に思いきや、絶妙な手触りで丁寧にサスペンスを積み重ねていくクラシカルな味わいが好ましい。物語自体が特段、他のシャマラン作品に比べ面白い訳ではなく、無理な展開も多いのに、不思議と引き込まれてしまう。
 アピチャッポン、ルカ・グァダニーノ作品常連の撮影監督サヨムプー・ムックディプロームの撮る画も美しく、こういったジャンル映画では普通、観ることができない映像美も見所の一つ。
 中盤以降のツイストに加え、コンパクトに仕上げられた所謂「フツーに面白い」逸品。シャマランの映画術、実に頼もしいと思った。【記録】
茶一郎

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