ハレルヤ

心の旅路のハレルヤのレビュー・感想・評価

心の旅路(1942年製作の映画)
4.4
見終わった後の率直な気持ちは、また凄い名作と出会えたなという事。そして映画ファンを名乗っておきながら、本作の存在を最近まで知らなかったことを恥じる思いも沸き上がりました。

記憶を無くした夫が戻ってくるのを信じて、彼のそばで身元を隠し、秘書として仕える妻。スミシィとポーラの長い旅路を描いたラブストーリーであり、深いヒューマンドラマ。邦題の「心の旅路」も完璧なタイトルでしょう。

健気で辛抱強く夫のスミシィの記憶が蘇るのを待ち続けるポーラを演じたグリア・ガースンの美しさと名演に釘付けでした。現代の女優でいうと、メリル・ストリープが一番近いタイプでしょうか。

目の前にいるのに、思い出の物を見せても、彼の記憶は戻ってこない。「私が妻よ」と言いたくても言えない心苦しさが伝わってきます。

そして夫のスミシィを演じたロナルド・コールマンの演技も特筆もの。冒頭の戦争が原因で精神に問題を抱えている姿と、中盤からの親の会社を引き継いで社長業をこなす姿を比べると、別人としか思えないほどの振れ幅。

この映画の大きな魅力はやはりこの主演2人の卓越した演技力。そして物語自体もシンプルながらも丁寧。なかなか辛い場面もあるけれど、ラスト10分は同じクラシック名作の「素晴らしき哉、人生」に負けずとも劣らないほどの素晴らしさ!

この終盤での徐々にスミシィの記憶が戻っていく流れが鳥肌ものの感動を呼び起こしてくれます。それまでの劇中で何度も感じたもどかしさが全て吹き飛びました。この評価の高さも当然納得です。

昔の名作と呼ばれている作品もそれなりに見てきたつもりでしたが、まだまだこんな名作がある事に気付かされました。これだから映画鑑賞は止められない!笑
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