はい、元祖おディーン様の映画です。
ジェームズ・ディーンの映画はすべて三本とも観ているのだが、今まで感想文を書くのにためらっていた。
というのも、おディーン様は芝居が臭い(笑)ので、昔からあまり好きになれなかったからだ。
ディーンの赤いジャケットとジーンズ姿が伝説的な『理由なき反抗』はニコラス・レイ監督による『大人は判ってくれない』。
共演はナタリー・ウッド、サル・ミネオ。ディーン同様にショッキングな亡くなり方をしていることに何か因縁を感じる。
家庭環境のゴタゴタから自暴自棄な毎日を過ごした17歳のジェームズ・ディーン青年が転校先の高校で不良グループから喧嘩をふっかけられる。
ちなみにこのグループの面々には若きデニス・ホッパーやニック・アダムスらが演じている。ニック・アダムスなんてまだ顔に幼さすら感じる。
その夜、チキンレースと称する、断崖に向かって猛スピードで車を飛ばす度胸試しをすることになったディーン。
ディーンは直前に車から脱出したが、競っていた不良グループのリーダーは間に合わずにそのまま崖から転落死してしまう。
予想しない事態にみんな慌ててその場を後にしたが、不良グループの面々はディーンに逆恨みして彼の襲撃を企てる。
一方、ディーンは自分と同じように家庭に居場所のないナタリー・ウッドやサル・ミネオと共に町はずれの空き家に忍び込むが・・・
冒頭の警察署のシーンは、ジェームズ・ディーンが演じる役柄の痛い子ぶりが気になる。
だけどこの場面がのちの伏線になるいずれも重要なシーンとなっている。
劇中、何度も居場所というキーワードが登場する。理由なき反抗というが居場所がないことが理由なのだ。
ちなみに本作で共演したサル・ミネオは「それまで大人と子供しかいなかった世間において、ジェームズ・ディーンは十代という世代の存在をはじめて主張した」と述懐している。
これは十代の若者の居場所を作ったと解釈してもいいのではないかと思う。
さて、妻や母に対して不甲斐ない態度をとる父親に嫌気がさしたディーンは、他人から腰抜けと言われることを何よりも嫌っている。
不良グループからの挑発も腰抜け呼ばわりしたことに我慢できなかったのだ。
勇気とは一見すると名誉を守るために無茶や無謀なことをやることに思えるが、本作のクライマックスでこれは否定される。
最後、追い詰められたサル・ミネオが銃をもって建物に立てこもり、ディーンが彼を説得するため潜り込む。
その時のディーンは自分のプライドのためではなく、親友を助けるために真の勇気を発揮するのだった。
真の勇気が発揮された場所こそが、人間同士のいさかいは広い大宇宙においてはちっぽけなものと教えてくれたあのプラネタリウムのあるグリフィス天文台なのである。
■映画 DATA==========================
監督:ニコラス・レイ
脚本:スチュワート・スターン/アーヴィング・シュルマン
製作:デヴィッド・ワイスバート
音楽:レナード・ローゼンマン
撮影:アーネスト・ホーラー
公開:1955年10月26日(米)/1956年4月18日(日)