カタパルトスープレックス

エイリアン:ロムルスのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)
4.4
「ドント・ブリーズ」シリーズを手掛けたフェデ・アルバレス監督による「エイリアン」シリーズのスピンオフ作品。これまでのレガシーを踏襲しつつ、まったく「エイリアン」シリーズを観たことがない人たちでも「エイリアン」を体験できる非常によくできた作品です。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2021年)もそうでしたが、最近の続編ものは過去のシリーズへのリスペクトがあるものがおおく、素晴らしい作品が多い。本作はそれがさらに徹底しています。オープニングタイトルはオリジナル『エイリアン』(1979年)の逆バージョン。そして、水飲み鳥。第一作目を観ている人だったらニヤリとしてしまう演出です。

世界観を含めてオリジナルの引用が一番多いのですが、『エイリアン2』や『プロメテウス』のような正史から外れた作品からの引用もチラホラ。そりゃ、これまでの「エイリアン」シリーズを追いかけてきた人たちは大喜びですよ。

しかし、本作の優れているのは「エイリアン」シリーズを観たことがなくても「エイリアン」シリーズを追体験できること。「エイリアン」シリーズは「人間とアンドロイドとエイリアンの対立軸」やストーリー展開にお約束事があります。ドキドキハラハラするポイントがワンパターンだったりする。それをちゃんと本作も踏襲している、オリジナルの世界観を引用しつつ。

そして、本作が素晴らしいのはキャラクター造形。中でも白眉なのがアンドロイドのアンディ(デヴィッド・ジョンソン)です。すごくもろくて繊細なのはこれまでの「エイリアン」シリーズにはない特徴です。しかし、これが徐々に変化してくる。その変化の演出や演技が素晴らしい。主人公のレインを演じたケイリー・スピーニーも悪くないんですが、アンディのすばらしさに少しかすんでしまいましたね。