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めまいの10000lyfhのネタバレレビュー・内容・結末

めまい(1958年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

旧友の妻の偽装自殺の目撃者に仕立て上げられた、高所恐怖症の元警察官が主人公のノワール。

ヒッチコック 1950年代の傑作群の中では、プロットが意外性あり複雑め、ユーモア要素の少ない本格ノワールで、本来なら大好きな作品になる要素満載なのだが、残念ながらマイナス要因が目についてしまう。まずは年の差カップル、否定するつもりはないが、アラフィフ男性と 20代女性の恋愛が当然のように描かれているのに違和感(ヒッチコックおじさんの妄想?)(一方でノヴァクも 20代には見えないが笑)。ノヴァク再登場後のステュアート(自分と相性の悪い男優の 1人)の、彼女の容姿を、自殺したと認識している旧友の妻に似させる言動は、完全に精神的 DV だし、自己中。共犯者といえどヒロインが死に追い込まれ、主犯(旧友)が罰せられず野放しなのも、ヒッチコックでは珍しく、後味悪い。

脚本面では、ノヴァク再登場の直後に、早々と種明かしがあるのが疑問。このせいで、終盤にダラダラ感が出る。他に興味深い点として「放りっぱなし伏線」がある。序盤、ノヴァクがホテルに入り 2階の窓に映るも消失するシーン。「ステュアートが幻を見た」としか解釈できないが、説明はなし。繰り返し観られる前提の現在の映画ではツッコミどころと見做されるだろうが、当時的には、観客の記憶の曖昧さをも考慮し、回収なし伏線を張るのも、ミステリアスな雰囲気を作る手法だったのか。

映像技術的には、めまいショット、カメラが被写体の周りを回るショット、タイトルや中盤の効果的な CG 的映像など、功績いっぱい。バーナードハーマンの劇伴も、いつもながらとても丁寧
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