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めまいのyksijokiのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.5
過去に囚われた人々が過去を解放すべく奔走するお話。めまいがするほど愛してしまった女性をただひたすら追い続けるジョニーによる高所恐怖症治療記といった感じ。

だらーっとお話が進む感じがあんまり好みではないなと思っていたところだったけど最後の30分の展開はワクワクした。

視覚効果の多用とか赤や緑、紫といった色を錯乱のメタファーとしてうまく活用している感じがした。近年の尖ったサスペンスものでの突然のファンタジー演出とかはこの演出のエッセンスを取り入れているものなのかもしれない。顔だけ暗闇に落ちていくシーンは2001年宇宙の旅を思い出した。

色を使った視覚効果だけでなくキスをする二人を中心にカメラをぐるっと一周させてそこの画を一瞬厩舎にしたりとか突然カリフォルニアの街並みのロングショットを入れ込んできたりとか、カメラワークをうまく使って観ている観客も幻覚、幻想をみているような気がしてくるような演出が多くあった。この辺は以後の映画界にかなりの影響を与えているのかも。

音楽の使い方もハイトーンの管楽器を重要な盛り上がりで活用していて穏やかで凄く寛容だった二人が突然暗闇に落とされるような感覚を音楽で表現していた。

キスに合わせて波がザバーンするのも細かいけど良かった笑。ただ最近のハリウッド映画への慣れと甘えから全体の展開のスローペースさに少しやきもきしてしまった。
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