生涯で一番回数見てる映画かもしれない。一時期は週一で見てた(頭がおかしい)。
ヒッチコックについて語るとお化けが出るかもしれないので手短に。
とにかく画面が豊かで美しい。前半部の夜の街並み、窓外の光景、尾行する車のリアリティ、後半部のイリュージョンのように突如として現実感を失ったショットの数々。リアルと夢や妄想の関係性。スコティの脳の中身がこぼれだしてしまってるような感覚に陥る。
そして今さら指摘することでもないけれど、作品を通して起こる上下の運動。舞台となるサンフランシスコの街並みは坂道が多いため、車での移動も自然と上下の運動を伴う。またもちろん、落下する、そして視線を下に落とす、という運動によってこの映画は彩られている。
しかしラストの唐突さもふくめて、全体のバランスはかなり歪でストーリーも一見して把握しづらい。にもかかわらず、それが映画としての魅力を損なうどころか、補強しているようにすら見えるからすごい。えらい。
しかし夢に絵画の女が出てくるカット、何度見てもあそこは震え上がるほど怖い。思い出しただけで怖い。