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めまいのnamのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
3.8
「映画史に残る"めまい"ショット&先の読めないサスペンス展開に引き付けられる」

もはや映画の教科書でもあるヒッチコック監督の作品の数々、そんな中でも有名な本作。

トラウマから高所恐怖症でめまいを起こしてしまう元刑事のジョンは知人の頼みで妻の奇行や原因を探って欲しいと依頼され、その謎を追っていくというストーリー。

先の読めない展開という意味ではとても楽しめましたが、話運びがややスローな印象で前半がちょっと退屈してしまった部分は否めなかったです。

ただサスペンスの巨匠の演出手腕として素晴らしいと感じた点として、最初は主人公の目線でストーリーを追っていた所、終盤残り3分の1あたりからのある事実を、観ている側にだけ知らせる「ずらし」が巧み行われていて、そのおかげで観ている我々は事実を知りつつ、それを知らない主人公の姿にハラハラしながら見守る事ができるというのはとても効果的な演出であったと感じました。

あとはこの作品からその後多くの作品に影響を与えた"めまい"ショットとも呼ばれる"ドリーズームショット"!
カメラは前進しながらズームを変える事で被写体の見え方は変わらず背景との関係性だけ変化するという印象的なカットです。

スピルバーグ監督の「ジョーズ」でも署長が海での異変に気づく印象的なシーンで使われたり、映像を調べてもらえるとピンと来ると思うので知らない方はこの技法だけでも知って損はないかと。
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