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めまいのplimのネタバレレビュー・内容・結末

めまい(1958年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

撮影技法や、音楽の素晴らしさはもちろん。ストーリーがシンプルで面白い!

映画史に残る名作がこんなにも分かりやすく、
かつ、異常とまでも言える偏愛の恐怖を描き、
終盤の盛り上がりと、
ラストの展開のテンポの良さがあると思わなかった。

冒頭で、
主人公の高所恐怖症を印象付けたにも関わらず、最初の1時間は特に関係のない話が続いて行く。
尾行し、不可解な行動をする女性をじっくりと見せられる事で、
この人は完全にイカれている事が印象付けられる。
そして後半に向けて明らかになる完全犯罪の全貌。
計画が完璧すぎて、唖然となってしまった。
真似する人出てくるんじゃないかと、。
しかし。ペンダント(殺しの思い出)と、主人公が元刑事であり、愛してしまった事がバランスを崩す原因になってゆく。

ノヴァクが最初に出てくるシーンは主人公と目が合うか合わないかの絶妙な間合いで顔全体を見せている。
横顔を映すシーンは、
後半で、ホテルの暗闇でシルエットだけが浮かび上がり、出会った時の記憶を掘り起こされる。

そして、ラスト。
事実を知った主人公は
愛している人には変わりないが、
騙されていた事による憎しみと、
正義感を抱え階段をかけ上がる。
ノヴァクは、
愛していた事は真実ではあるが、
彼を騙した罪悪感と、
愛され過ぎたが故に
落とされてしまうのではないかという恐怖を抱え、
階段を登らされてゆく。

様々な感情がめまいのように渦巻き、シスターによって報いを受ける結末へと向かってゆく。

印象操作や、登場人物の写し方など、心理学的に、主人公と鑑賞者を手のひらで転がしていく映像技術は敗北感のない白旗を挙げてしまう。

約60年前もの作品がこれ程素晴らしいとは思わなかった。
完全に沼にはまりそうだ。
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