ヒノモト

先生の白い嘘のヒノモトのレビュー・感想・評価

先生の白い嘘(2024年製作の映画)
3.0
出演者のインティマシーコーディネーターの要望を受け入れずに撮影されたことが、変な形で波紋を呼んでいる今作ですが、その問題とは切り離して、純粋に感想を書きます。

ある出来事をきっかけに、女性であることの不平等さを感じながら、高校教師を務める原美鈴が、担当クラスの男子生徒・新妻祐希から性の悩みを打ち明けられ、思わず本音を漏らしてしまい、新妻が鈴にひかれていくというお話。

同名コミックの実写化ということで、鑑賞後序盤だけ原作を読んでみましたが、原作で言及されている主人公美鈴の心の声をすべて映像化する訳にもいかず、シーンとしても輪郭を描くべきところが抜けていたりして、そのあたりが映画の物足りなさにつながっている印象でした。

自身のトラウマである性被害、性の格差の植え付けと似た境遇の悩みを持つ生徒が現れたからといって、自身の内面を自ら話してしまう教師っているのかというところで引っかかり、若干ロマンポルノのような前半の甘い展開に対して、友人の婚約者である関係性を上手く生かした後半部分は、性の格差が悲観するばかりではない希望を植え付けるのは、良かったと思いました。

ただ、個々の人物設定(特に男性)の思考がかなり極端に見えてしまうような不自然さを感じてしまう部分が見られるため、物語の都合が強めに見えてしまったところは残念でした。

今回今作を観るきっかけの1つとして、3面マルチスクリーンでの上映がありました。
3面いっぱいに1ショットで捉えているシーンはそれほど多くなく、2面+1面で別アングルのショットを組み合わせたりする場面が多く、本来のスクリーンの横幅を映し出す2面分(中央+両サイド半面)が多めだったようで、あまり3面の必然性は薄めな印象でした。
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