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コーカサスの虜のmimicotのレビュー・感想・評価

コーカサスの虜(1996年製作の映画)
3.7
トルストイの小説を90年代のチェチェン紛争に置き換えた美しく哀しい物語

コーカサス地方が好きで観た映画。三作品目です。
舞台はコーカサス山脈の北側に位置する山村。石造りの家々や民族衣装が異国情緒豊かで溜息が出るほど美しい。
その自然が生んだ雄大な風景のどこかで、実際に紛争が続いていたのかと思うと本当に哀しかった。

息子をロシアに捕らえられた老人家族と、囚われた2人の若いロシア兵捕虜の間に芽生える人間としての豊かな感情。人間って温かいなって。
紛争による、民族間と個人間の心情の違いを感じました。争うことで、ただ家族平和に過ごしたいと思う優しい人々までもが巻き込まれる理不尽さを、改めて考えさせられる作品です。

孫娘ジーナは、フェルメールの「青いターバンの少女」を思わせる魅力的な女の子。彼女の存在が作品に花🌼を添えています。ロシア兵ワーニャとジーナの淡い恋が可愛らしく、ホッとする場面でもありました。

しかしこれは紛争の話。
世にも哀しいラストが待っていました。

戦争を淡々と美しく優しく描けば描くほど哀しみが大きくなって、そしてその余韻もいつまでも続くのです。










(メモ)

生まれた時から
この地で生きてきた
吹きすさぶ風に
よそ者はおびえ去っていく
誰も我らを知らずとも
山が我らを守ってくれる
吹きすさぶ風が
よそ者を追い払う
(劇中歌)

青いスカーフが
君の肩から落ちる
君は言う 
忘れない 大切にするわ と
夜が更けるまで
しゃべっていたね
もう それも遠い
青いスカーフの君
(劇中歌)
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