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夜明けへの道のodyssのレビュー・感想・評価

夜明けへの道(2023年製作の映画)
2.5
【共感はするけど】

軍事政権による抑圧的な政治が続いているミャンマー。
その政権から反逆者の烙印を押されて逮捕されかかった映画監督によるドキュメンタリー。
自宅に捜索の手が伸びたので、帰らずに友人知人宅を転々とし、やがて反体制側の軍に入って……という展開。

監督には共感はしますけど、でも率直に言ってドキュメンタリー映画としては面白くないんだな。
なぜかというと、被写体が限られているから。

言うまでもなく軍政の横暴ぶりを直接撮影することはほぼ不可能。即座に逮捕されてしまうから。
だから、監督の自分語りがメインで、それ以外にも軍政により(反体制派の味方だと決めつけられて)家を焼き討ちにされた人々とか、反体制軍側の様子だとかも出てくるのではあるけれど、「この映画を見ればミャンマーの軍政が詳しく分かる」という作品にはなっていない。

監督の自分語りにしても、もう少し工夫の余地があると思うんだよね。
つまり、戦後ミャンマーの歴史とか、軍政の歴史や内実などを分かりやすく説明するといった作業も必要なんじゃないかな。

でも冒頭では監督が昔作ったコメディ作品の映像がしばらく続いたりして、「は?」という印象も。

むろん、こういう状況下だから作品を作ること自体が大変だったというのは分かるけど、でも、映画としての満足度はお世辞にも高いとは言えないんだよね。

残念。
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