◆あらすじ◆
ジャーナリストのバシュレは心療内科の医師の新島小夜子とともにミナール財団のラヴァルを拉致監禁する。バシュレはラヴァルに自分の娘がミナール財団の何者かによって殺害されたことを告げ、その犯人を教えるように迫る。小夜子による献身的なサポートを受けてバシュレはその真実に迫ろうとするのだが...。
◆感想◆
本作は「蛇の道」(1998年日本製作)のセルフリメイク作品となっており、私はリメイク元を鑑賞済みです。舞台をフランスに移していますが、ストーリーの根幹は変わっていないように感じました。
娘を殺した犯人を追うバシュレ(ダミアン・ボナール)とそれをサポートする小夜子(柴咲コウ)の姿を描いた作品となっていて、常に怒りや不安にかき立てられているバシュレとその心情が全く現れない小夜子が対照的な存在となっていて、小夜子の得体の知れなさが本作の不穏な雰囲気を醸し出していました。
バシュレは幼い娘を残忍な手口で殺害されたことでその犯人と思われるミナール財団の人間にターゲットを絞って拉致監禁します。前述のとおり、バシュレは精神的に安定しておらず、常に焦燥感にかられているような感じがあって、危険な人物でありながらも単純で分かりやすい人物でした。
一方、バシュレに手を貸す小夜子はその目的が全く分からず、常に無表情で行動していて、得体のしれない怖さがありました。それ故に本作のストーリー進行を担っているのがバシュレではなく小夜子であるように映りましたし、観ている私の関心も小夜子に向いていたと思います。
ストーリーとしてミナール財団から最初にラヴァルを拉致した後、そのラヴァルから情報を得て、次々と拉致を繰り返す展開になります。バシュレは監禁した相手に対して弄ぶように扱うので、感情移入しにくいキャラクターでした。しかし、そのバシュレの行動も小夜子が上手く誘導しているように見えて、やはり小夜子の怖さが一番に光っていたと思います。ストーリーが進むにつれてノイズのように小夜子の本心が瞬間的に現れる部分があって、彼女への興味が尽きませんでした。
対照的な2人の存在と彼らによって導かれる結末に怖さと狂気を感じる作品となっていて、なかなか面白かったと思います。
鑑賞日:2025年3月19日
鑑賞方法:Amazon Prime Video