あまりの多幸感に笑顔のまま涙を流してしまった。感動するシーンでもないのに、登場人物たちがひたむきにアイスダンスに向かう姿、劇中の荒川のセリフの通り子供の純粋さにサラーっと涙が流れる。
「お日さま」のタイトルに偽りない光に包まれる映画でもあった。雪の白、スケートリンクの水色に反射する光が温かく、フィギュアスケートの音、スケート靴のブレードがリンクをこする音が心地よくリズムを刻む。滑らかな運動の反復と、滑らかな撮影が心地良い。観客と登場人物を優しく包み込みながら、しっかりと現実の痛みを描き出し優しさと痛さが突き刺さる映画体験だった。