銭湯を舞台にバンパイアと童貞高校生の絆を描いたミュージックコメディドラマ。
原作は奥嶋ひろまさのコミック。
浜崎慎治が監督を担当し、吉沢亮、板垣李光人、原菜乃華、関口メンディー、満島真之介、堤真一、音尾琢真、映美くらら、笹野高史、眞栄田郷敦らが共演。
森蘭丸(吉沢亮)は、2017年4月11日の真夏日に日光と暑さで倒れていたところを、たまたま通りかかった少年の立野李仁に助けられる。それがきっかけで蘭丸は少年の家族が営む銭湯”こいの湯”で住み込みで働くことになる。実は蘭丸はバンパイアで、見かけの肉体年齢は25歳だが実際の年齢は450歳だった。蘭丸は、最高の味わいとされる18歳の童貞から吸血したいがために、純心で天真爛漫な李仁が童貞のまま18歳になるのを待ち望んでいた。15歳になった李仁(板垣李光人)は、高校入学式の初登校時に曲がり角でクラスメイトの篠塚葵(原菜乃華)とぶつかり、彼女に一目ぼれしてしまう。蘭丸は李仁の童貞を守るため二人の恋を邪魔しようとする。しかし葵はバンパイアマニアで、李仁には全く興味が無く、バンパイアの蘭丸に密かに思いを寄せる。蘭丸はそんな葵の兄である脳筋番長フランケン(関口メンディー)と偶然知り合う一方で、バンパイアハンターの坂本(満島真之介)に命を狙われる....
「童貞喪失絶対阻止」
銭湯で働くバンパイアが18歳の童貞から吸血したいがために、純真無垢な高校生の童貞を守ろうと画策するコメディドラマ。
吉沢亮が450歳の若きイケメンバンパイアをコミカルに演じており、役者としての演技の幅を感じさせられた。共演者たちも個性的な登場人物をそれぞれ好演している。音楽もマッチしおり、キャストたちの歌も作品を盛り上げて素晴らしい。
タイトルの”ババンババンバンバン”はドリフターズの”いい湯だな”の歌を連想させるが、まさに本作の舞台は銭湯でダジャレも冴える。
銭湯の壁に描かれた富士山の壁画が、松竹映画お決まりのオープニング映像の富士山とダブるのが松竹作品ならでは。
森蘭丸と聞くと、歴史上の人物を思い浮かべてしまうが、彼が物語の重要なキーを握っていて納得です。本能寺の変や坂本龍馬暗殺事件など真相が明らかになっていない史実をパロディにしているのが秀逸で、歴史好きだとより楽しめる。
勘違いとボタンのかけ違いから5人の思惑が交差しながら、コミカルにストーリーが展開して抱腹絶倒です。
終盤では腕が飛ぶなどシリアスでグロイシーンもある一方で”アダムスファミリー”のパロディ映像で笑いを誘う。
大切な人を守ることが大事であることにも触れており、信頼と絆も描かれたヒューマンドラマも味わえる。
「人はそれを恋と呼ぶようです」
恋あり、笑いあり、下ネタあり、推しあり、歌あり、歴史あり、吸血鬼ありで楽しめた。
たまには大浴場で湯に浸かりたくなるホッコリさせられる作品です。
「ババンババンバンバン ババンババンバンバンパイア♪」
2025.10 配信で鑑賞