オトマイム

イカとクジラのオトマイムのレビュー・感想・評価

イカとクジラ(2005年製作の映画)
3.9
ノア・バームバック監督は人の心の機微を描くのがすごく上手。ずいぶん昔に一度観て、好きな作品だったので再見です。離婚した両親の家を行ったり来たりさせられる兄弟の話。

家族って難しい、夫婦って難しい。親子間の愛情はあるのにね。夫婦に亀裂が入るとぜんぶのバランスが崩れてしまう。振り回されるのは子供たち。

さらけ出したくない内面の弱さや欲、カッコ悪いところ、身勝手なところ。そんなものが淡々と描かれて生々しい。それでもどこか軽やかな独特の世界に惹きつけられる。サントラもとても心地よい。

兄(ジェシー・アイゼンバーグ)はたぶん傷つきたくないから、寂しさやら諸々の感情を封印していたのだよね。その若さ、痛々しさにすこしキュンとなった。
そして母親役のローラ・リニー。本作で私は彼女が好きになった。主演は少ないけれど意外に多くの作品にちょこちょこと出ていて、思いがけず柔らかな笑顔の彼女に出会うと嬉しくなりますね。

この可愛らしいタイトルの意味が明らかになってからラストまでの展開には、胸がじーん(´-`).。oO