たにたに

イカとクジラのたにたにのレビュー・感想・評価

イカとクジラ(2005年製作の映画)
3.4
🔸10代男子の自慰行為

🔸口癖"fuck!"

🔸父親派と母親派

🔸自然史博物館


▪️感想▪️

父親派と母親派に分かれて、家族でテニスの試合。どうやら仲が良くない家族のようだ。

父親と母親はどちらも、作家だが、最近の父親の作品は落ち目。一方、母親の作品は評判が良く、父親からの敵対視のような、男のプライドのようなものが見え隠れする。

母親はというと、子供のテニスのコーチと不倫。家族会議が開かれ、ついに離婚。

両親がうまく行っていないと、子供にも影響があるのだろうか。
小学生の息子は、図書室で自慰行為し、自らの性液を本になすりつけ、好きな女の子のロッカーにもなすりつける。
母親に似て、性の本能が長けている。

高校生の息子は、ピンク・フロイドの曲をパクって、オリジナルと嘘をつきコンクールで優勝する。そして、恋愛が下手で、ストーカー気質なとこも見受けられる。父親に似てプライドが高い。

そんな思春期真っ只中の子ども達が、父母の悪化した関係の中で彼らに気遣うわけでもなく本能のままに生きていく姿が印象的である。

20センチュリーウーマンの、シングルマザーのもとで育つ息子とも近いものを感じますが、周りにアドバイスをくれる大人達がいて、成長しているなぁと思った反面、イカ🦑とクジラ🐋の息子達は向かう方向が間違っているとさえ思う。



さて、タイトルになっているイカとクジラ。
高校生の息子が昔、母親と自然史博物館で見た展示のことを言っているようだ。
でかいイカとクジラが対立しているモニュメントのようなものなのですが、彼にとってこれはちょっぴり怖いものであり、良い思い出でもあった。

正直、だから何?

と思ったのですが、ラストで彼は自然史博物館へ走り、その展示を眺めて物思いにふけるのである。


イカとクジラが、
母親と父親に照らし合わせているのか、
彼自身の心の中にある矛盾した思いの歪みなのか、この考え方は視聴者にとって変わるだろう。

イカが、クジラに勝つなんてまるであり得ないことであるが、その展示のイカはいかにも(ダジャレ…)クジラを絞め殺さんとしようとしています。


イカとクジラときくと、
先日見たショートタームの、サメとタコを思い出す。そのサメは友達だからいいじゃないかと、タコの足を一本ずつ食っていき、最終的には足がなくなったタコは捨てられる。

大海原の王ともいえるクジラが、化物のようなイカと対峙する、そこには騙し合いもなく、両者の生き延びるための、ぶつかり合いといえる。

高校生の息子は、その展示からうまくいかない父親と母親を照らし合わせているように思えます。そして、今や父親派であるが、過去の母親との思い出の方が記憶に残っているということは、昔を取り戻したい、そんな気持ちも見受けられるのです。
たにたに

たにたに