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幕末太陽傳のshunのレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.5
北の吉原と並ぶ品川遊廓が舞台。あと六年で明治という大きな時代の変わり目で、今日も賑やかな遊女屋の模様が描かれる。

とっても楽しい映画でした。日本映画の傑作の一つと言われるのも納得の面白さ。

たくさんの登場人物のドタバタが語られますが中でも主人公の居残り左平次は遊女、遊客、女中、主人などみんなから愛される頭の回転の速い男。いつの間にか屋敷に住み着いて働き、その持ち前のコミュニケーション能力で客の心を掴み遊女たちからも感謝される存在になる。

当時の遊女屋では一人の女性が何人もの男性を一晩に相手をすることもあったそうで、客を待たせる間に相手をするのが男性従業員たちの役目だったらしい。
この人のなすこと全てがおもしろく、生粋のエンターテイナーとはこのことだと思った。

遊女たちも従業員も客もみんな色々ありながらも人生楽しんでそう。この当時のこういう店の職場環境や女性の権利の面からはただのフィクションかもしれないけど、「遊廓」と聞いて思い浮かべる華やかさや明るさが形になっている映画だった。

そして芦川いづみが女中役で出ていたのが個人的なポイント。最初は全く目立たずご飯作ってみんなの後ろを走り回ってるんだけどなんとも彼女らしい役だった。使用人に「ご飯ですよ!」って元気に言うシーンが好き。

そんな彼女が後半から準主役的立ち位置になるんだけどこの話も良かった。誰にも頼れない状況で、店の女たちとは全く違う生き方を自分から切り拓くかっこよさ。
最初左平次と絡むことなく進み、後半から合流して二人の知恵で状況を切り抜ける感じもいい。
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