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幕末太陽傳のHKのレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.2
日活の代表作であり川島雄三監督の代表作でもある日本の喜劇映画の金字塔。

グランドホテル方式で「相模屋」という旅館で繰り広げられる様々な人間模様を剽軽ながらも克明に描いている。

フランキー堺が見事なまでに味を出していて、喧嘩やら揉め事が起きればすぐにでも駆けつけ要領よく争い事を解決する様子はとてもいい。

他にも登場人物は結果的には誰も死なないものの、大体の人間が姑息に自分の都合で相手を死なせようとするシーンがかなりあり、ある意味倫理観の無さがシニカルで客観的な笑いを醸し出している。

というか、遊女の方々があまりにも男勝りの喧嘩をすること、結局のところ心中するとかで結局突き落としたりと、あまりにもやってることは怖すぎるわ(笑)

他にも起請文を簡単に反故にしたりと、義理も人情もありゃしない人間関係も、要領よく掻い潜ってみんなを和ませる佐平治はある種の風格がある。

挙句には裕次郎演じる高杉との会話での「てめえ一人の才覚で世渡りすんなら、首が飛んでも動いて見せまさ!」こういうことを平気で言えるから勇ましいっちゃ勇ましい。

肺を患っていながら悲観めいたものは一切なく、ラストシーンの最後の一言も生きることをしっかりと定義づけていていいと思いました。かと言ってお涙頂戴の演出もなくカラッとした感じで終わるあのラストも、結構好きかもしれない。

もう一つの原案のラストも見てみたかったな。
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