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鮫のkのレビュー・感想・評価

(1964年製作の映画)
3.8
サメ映画として鑑賞しました。
流民の子として生まれた漁師の男、その名も鮫は、飢饉による口減らしのために村を焼き討ちにされ、母親を失います。孤独な鮫は、悪いとわかっていながらも悪事を重ね、困難な時代を生き抜いていく、というお話。
DVD化されていないのが不思議なくらいの名作。主演はあの中村錦之助、終盤には三田佳子も出演する豪華な布陣です。中村錦之助の演技が鬼気迫っていて引き込まれます。純粋無垢な子供だった鮫が、京へ逃げ延び、善悪の判断をかなぐり捨て盗っ人となって人を傷つけ、足軽となっては寝返ってまで殺しまくり、ついには野盗となり極悪非道の限りを尽くすその過程を、少しのメイクと大胆かつ力強い演技でやり切っています。その鮫が、尼という究極の善に触れ、これまでの悪事の全てがフラッシュバックするシーンは必見です。
サメは冒頭に登場。漁師であっても流民の鮫は、獲ったサメのほとんどを領主に献上せねばならず、分け前は頭と臓物だけ。差別の末についには焼き討ちにあうんですから、彼があれだけひねくれてしまうのもよく理解できますよね…。
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